ライブ配信のリモート出演に最適!Zoomに頼らない二元・多次元中継の最新メソッド
ライブ配信/収録

ライブ配信のリモート出演に最適!Zoomに頼らない二元・多次元中継の最新メソッド

LIVE/収録

近年ではオンラインでのイベントやリモート(遠隔)出演が一般化し、ライブ配信においても多次元中継の画質・音質の高さが重要視されるようになりました。

しかし、ライブ配信で活用されることの多いZoomなどのWeb会議サービスは手軽である一方、画質や音質に課題があり、クオリティの向上を目指すのは難しい側面も。そこで注目されているのが、IPエンコーダーを活用したIP伝送での二元・多次元中継です。

本記事では、二元・多次元中継でクオリティの高いライブ配信を行うために押さえておくべきポイントや、リモート出演先・スタジオのそれぞれで整えておくべき環境リモート出演において便利なリモートカメラについて詳しく解説していきます。クオリティの高いライブ配信を目指されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

二元・多次元中継とは?

ハイブリッドイベントとは?

2つの拠点での中継を同時に使う放送形式は「二元中継」、複数の拠点での中継を同時に使う放送形式は「多次元中継」と呼ばれます。スタジオでイベントや番組をライブ配信しながら、リモート出演というかたちで複数の拠点からの中継を演出として盛り込む場合に活用できます。

二元・多次元中継でのライブ配信における課題や、画質・音質を向上させる必要性などについて詳しく見ていきましょう。

二元・多次元中継のハイブリッド配信が普及した背景

コロナ禍を経て、セミナーや展示会、社内イベントなどのリアルイベントが激減し、映像と音声によって遠隔地にいる相手とも話せる「Zoom」や「Google Meet」、「Microsoft Teams」などのWeb会議サービスが急速に普及しました。

これにより、セミナーや社内イベントもWeb会議サービスを使用し、オンラインで行われるように。オンラインであれば、セミナーやイベントへの参加のハードルが下がるだけでなく、交通費や宿泊費、会場費などを削減することができます。

とはいえ、コロナ禍が収束したとされる現在においては、臨場感や一体感を作り出せるリアルイベントも復帰し始めており、イベントやセミナーをリアルな会場で実際に開催しつつ、オンラインでの配信も行うハイブリッドイベントを開催する企業や制作会社が増えています

リアルイベントをライブ配信しながら遠方の人にリモート出演を依頼したり、本社で社員総会や決算報告会をリアルイベントとして行いながら、全国各地の支店をリモートでつなぐなど、今後も二元・多次元中継を活用したハイブリッド配信はますます頻繁に行われていくでしょう。

二元・多次元中継のライブ配信の課題

これまで、ライブ配信が途中で途切れたり遅延したりするリスクがあることは、ある程度仕方のないこととされていました。しかし、ライブ配信が浸透した昨今においては、テレビ並みのクオリティが求められるように。

ライブ配信のクオリティを高めるためには画質や音質の向上が必須となるため、インターネット回線の速度と安定性が重要になります。

二元・多次元中継を行うライブ配信では、「Zoom」や「Google Meet」、「Microsoft Teams」などのWeb会議サービスを使用することが一般的でしたが、こういったWeb会議サービスは手軽にライブ配信を行える一方で、画質や音質に課題があります。

これは、ZoomなどのWeb会議サービスでリモート出演先とスタジオをネットワークで接続し、遠隔で番組を制作する「リモートプロダクション」を行う場合、画質や音質はどうしてもZoomなどのソフトウェアの性能や、インターネット回線に依存してしまうためです。

照明やマイクなど、どんなに高品質の機材を使用したとしても、Web会議サービスを使用している限り高画質での配信は難しくなるため、ライブ配信のクオリティが下がってしまうのです。

高画質・高音質なライブ配信を行う重要性

制作側も視聴者側もライブ配信にテレビに近い高音質・高画質の映像を求める時代となった昨今、番組制作やライブ配信をするうえで、「コンテンツの力」はまずます重要になっています。コンテンツの魅力を引き出すためにも高音質・高画質であることは必要不可欠といえるでしょう。

ZoomなどのWeb会議サービスを使用してライブ配信を行う場合、ブロックノイズ(四角いブロック状のモザイクにより、画面の一部またはすべてが乱れてしまう現象)が発生したり、声が止まってしまったりするケースがあります。

クオリティの高いライブ配信を行いたいのであれば、これらのトラブルは当然避けたいところ。IPエンコーダーを使用し、フルハイビジョンでライブ配信を行えば、こういったトラブルを防ぐことができるのです。IPエンコーダーについては、次の章で詳しく解説します。

二元・多次元中継で高品質なライブ配信を行うためのポイント

二元・多次元中継を活用し、高画質・高音質なライブ配信を行うためには、どのようなことが必要となるのでしょうか。押さえておくべきポイントについて、詳しく解説していきます。

IPエンコーダーの活用

参加者が大人数でもコストを抑えられる

先述のとおり、複数のリモート出演先の拠点とスタジオで多次元中継を行う場合は、ネットワーク回線を介してビデオやオーディオをリアルタイムで送受信できる機材、IPエンコーダーの使用がおすすめです。

IP・IP伝送とは

IP (Internet Protocol)」とは、ネットワークを経由して正しい宛先にデータを送るための決まり・規格のこと。

IP伝送とは、インターネット経由で映像や音声を送る際の方式のことで、現在は「SRT」「NDI」「RTMP」などが主流となっています。

IPエンコーダーは、それぞれのIPアドレスや暗号を入力することで送信元と受信先を特定し、データを送受信する設計になっています。

Web会議サービスを使用してライブ配信を行う場合、映像の遅延を避けることは難しいもの。Zoomなどでは遅延をなるべく軽減するために映像を自動で圧縮し、画質や音質を落としてでもインターネット回線の速度を優先して送るという性質があるため、画質や音質が悪くなりやすいのです。

画質はZoomというソフトウェアを制御する、パソコンのCPUやGPUと呼ばれる映像処理の性能にも左右されます。また、Zoomを使用する場合はZoomを使用する専用のパソコンが必要となるため、パソコンの台数が必要になるというデメリットも。

音質の面でいうと、パソコンのサウンド設定なども確認しなければならず、ハードウェアであるIPエンコーダーを使用する方が安心です。

ハードウェアであるIPエンコーダーは、多少の遅延は発生するものの、その性能を最大限に活用できれば、フルハイビジョンで映像を送受信することが可能に。

近年は、コンテンツのクオリティを重視する傾向が高まっていることもあり、多少の遅延はあっても画質や音質を優先したいという企業が増えているため、IPエンコーダーを使用し、クオリティの高いライブ配信を行うケースが増加しています。

ミキサーの使用

ミキサーの使用

ライブ配信で音声トラブルを起こさないためには、ミキサーの使用も重要なポイントに。

ミキサーとは

音声信号を出力するための機材のこと。人それぞれで異なる声を整理し、ライブ配信に適した音圧や音量になるように調整する役割があり、聞き取りやすい音声を作り出すことができます。

リモート出演者が自分の声をスタジオに送りつつ、スタジオにいる出演者の音声も聞こうとすると、自分の声がスタジオの音声と混ざり、反響してしまいます。

自分の声を消してスタジオの音声だけ聞き取りたい場合、複数の音声から特定の音声を消去する「マイナスワン」という状態にしなくてはなりません。

マイナスワンの状態にするためには、自分の声が反響するのを防ぐため、ミキサーが必要不可欠に。また、ミキサーを正しく扱うことができ、音声の調整や音声トラブルに対応できる現場経験が豊富なスタッフが必要となります。

【動画マーケがおすすめ】ライブ配信に必要な専門スタッフ・機材すべてを完備!

【動画マーケがおすすめ】ライブ配信に必要な専門スタッフ・機材すべてを完備!
【動画マーケがおすすめ】ライブ配信に必要な専門スタッフ・機材すべてを完備!

二元・多次元中継に適したリモート出演先、スタジオの環境とは?

高画質・高音質で二元・多次元中継を活用したライブ配信を行う場合、映像を送信する側のリモート出演先と映像を受信する側のスタジオには、それぞれどのような環境が求められるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

リモート出演先の環境

リモート出演先では、まずネットワーク回線があるかどうかを確認します。リモート出演を利用した二元・多次元中継のライブ配信を高画質・高音質で行う場合、スタジオだけでなくリモート出演先にも安定していてかつ、回線速度が速いインターネット回線があることが必須に。

必要な回線速度は、ZoomなどのWeb会議サービスを使用するかIPエンコーダーを使用するかによっても変わってきますが、NDIやSRTといったIP伝送方式でライブ配信を行う場合は、10Gbps環境が望ましいといえます。

回線速度がどれくらいなのかは以下のURLで確認できるため、配信前に確認しておきましょう。

山頂や海上などにネットワーク回線がない場所では、LIVE U社のLU600などを活用すればスマートフォンの回線を使用してのライブ配信が可能になりますが、金額はかなり高額になります。

また、ネットワーク上で映像などの情報のやりとりをするためには、送信元から受信先まで統一した規格で正しくデータを送らなければなりません。撮影した映像をIPに変換するエンコーダーがリモート出演先にも必ず必要となるため、IPエンコーダーの使い方がわかるカメラマンをリモート出演先に派遣するのがよいでしょう。

リモート出演先には出演に専念してもらうため、拠点側のスタジオでネットワークを構築しておく必要があります。リモート出演側にもディレクターがいる場合は、拠点スタジオの映像を見たり音声を聞いたりしなければなりません。その場合は、スタジオ側からもリモート先に映像を送る必要があるため、リモート出演側にも受信IPエンコーダーを用意しておきましょう。

スタジオの環境

データは、映像の送信元から受信元まで統一した規格で送らなければならないため、いたるところに存在する拠点からの映像を集約する受信側のスタジオにも、使用したい規格に合った機材が揃っていなければなりません

特に、テレビ番組に近い高画質・高音質のライブ配信を行いたい場合は、映像を受信するスタジオ側にはリモート出演先以上の回線の太さが求められます。また、回線だけでなくネットワークを介したデータの送受信について理解している音声・映像それぞれのエンジニアが在籍している必要があります

リモート出演先に番組の内容に集中してもらうためにも、スタジオ側の環境をしっかりと整えておくようにしましょう。

カメラマンが不要に?リモートカメラの種類や操作方法とは

十分なネットワーク回線が整備されているか

リモート出演を利用した二元・多次元中継を行う場合、スタジオだけでなくリモート出演先にまでカメラマンなどのスタッフを派遣するとなると、そのぶんのスケジュールを押さる必要があり、費用も高くなります。そこで活用したいのがリモートカメラです。

近年、「IoT(Internet of Things)」と呼ばれる、家電製品などをインターネットで接続することで離れた場所から操作できる仕組みが広がり始めています。リモートカメラはIoTの仕組みを利用することで、スタジオなどからカメラを遠隔操作することができるため、リモート出演先にカメラマンを派遣する必要がありません

ここからは、ライブ配信に適したリモートカメラの種類や操作方法などについて詳しく解説していきます。

ライブ配信に適したリモートカメラの種類

「リモートカメラ」は「PTZカメラ」とも呼ばれています。「PTZ」は「パン(Panoramac。カメラのレンズを水平方向へと動かすこと)」「チルト(Tilt。カメラのレンズを垂直方向へと動かすこと)」「ズーム(Zoom。カメラのレンズをズームアップ・ズームアウトすること)」の頭文字から取られており、この頭文字が示すように、リモートカメラは上下前後左右に動かすことができます

リモートカメラの種類はさまざまですが、配信によく使われているカメラのメーカーはパナソニックとキャノンです。これに関しては「放送局が映像の色や画質などをできるだけ揃えるために、自社内で同じ大手メーカーのカメラで揃えていることが多かった」という背景があります。

遠隔操作するためには、これらのメーカー、かつ「IP制御ができる」カメラを選ぶ必要があります。

リモートカメラの操作方法

リモートカメラを外部からコントロールするためには、離れた場所にある拠点同士を安全に接続する拠点間VPN(Virtual Private Network)の利用形態の1つである、拠点間VPNを組む必要があります

拠点間VPNを組めない場合は、NDIであれば「NDI Bridge」というツールを使用し、グローバルIPとポートフォワーディングの設定により、遠隔地のリモートカメラを制御することもできます。

ポートフォワーディングとは

IPネットワーク上のある機器が、自らのアドレスのTCPやUDPの特定のポート番号への通信を、あらかじめ設定しておいたLAN側の機器に転送する機能のこと。

ポートフォワーディングを活用すれば、一つのグローバルIPアドレスでポートごとに複数のサーバーへ振り分けを行ったり、ポート変換を行うことができます。

リモートカメラを遠隔操作するには、まずIPエンコーダーとリモートカメラを拠点に送ります。IPエンコーダー経由で専用のネットワーク回線をつなぎ、機材のセッティングさえできれば、スタジオからカメラの遠隔操作が可能です。

ネットワークの知識が必要になり、設定すべきことはいくつかありますが、操作についてはインターネットのLANケーブルを挿せば、ブラウザ上でもリモートカメラを操作できます。リモートカメラを活用すると、リモート先のカメラマンが不要になるため、コストカットにつながります。

ただし、IP制御が可能な高性能のリモートカメラの種類はまだまだ少なく、かつ高額であるため、「IPエンコーダーとリモートカメラを使用して遠隔操作をする」サービスを導入しているスタジオはほとんどないのが現状です。

リモート操作パネルとして活用できるものとは?

リモートカメラの操作には、専用のリモートパネルだけでなく、本来はゲームをするために使う「ゲームコントローラー」や、楽曲制作をするために使われる「MIDIコントローラー」なども使用できます。

リモートカメラは機材開発もできるため、プログラミングなどができる場合にはアプリを自作して操作するといった方法もあります。いずれはコントローラーなどが市販され、より手軽に誰でもリモートカメラをコントローラーで遠隔操作できるような時代が来るかもしれません。

まとめ

二元・多次元中継でハイクオリティなライブ配信を行うためのポイントや、リモート出演先、スタジオでそれぞれ整えるべき環境、リモートカメラの種類や操作方法などについて詳しく解説していきましたが、いかがでしたでしょうか。

オンラインでのイベントやリモート(遠隔)出演が一般化し、ライブ配信においても画質・音質の高さが重要視されるようなった近年では、IPエンコーダーやミキサーを活用し、IP伝送に適した環境をリモート出演先、スタジオの両方で整えることが重要です。ライブ配信やIP伝送についての知識や実績が豊富なスタジオに依頼し、クオリティの高いライブ配信を目指しましょう。

動画マーケでは、IP伝送を活用した二元・多次元中継の知識や実績が豊富で、映像の切り替えなどのさまざまな演出を用いた配信をリアルタイムで行える下記のスタジオをおすすめしています。企画からナレーター・モデルの手配、撮影後の編集なども依頼できるため、クオリティの高いライブ配信を目指されている方は、一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。

【動画マーケがおすすめ】ライブ配信に必要な専門スタッフ・機材すべてを完備!

【動画マーケがおすすめ】ライブ配信に必要な専門スタッフ・機材すべてを完備!
【動画マーケがおすすめ】ライブ配信に必要な専門スタッフ・機材すべてを完備!

ライブ配信・収録の全てをワンストップでお任せ
ワンストップスタジオ京都

プランの詳細・ご相談はこちら
飯高 健吾
高性能のカメラや映像処理ソフトウェアを使いこなし、映像の品質と効果を最大限に引き出す。
さらに、彼は映像の編集やポストプロダクションのスキルも持っており、撮影から編集までの一連の作業を自身で行うことも可能。