フォトグラメトリとは?撮影のコツや必要な機材、3DCG作成手順もご紹介
近年ARやVR、バーチャル展示会などの3DCGコンテンツの広がりが加速しており、写真や動画とはまた違った立体的な表現として、様々な広告に使用されています。
3DCG制作といえば、3D制作ソフトで実物を見ながら0から形を作ったり、CADデータをもとにモデリングしたりするのが一般的でしたが、昨今“フォトグラメトリ”という技法が用いられているのはご存じでしょうか?フォトグラメトリ技術は、モデリングデータが手配できない場合でも、撮影画像から半自動的にモデリングデータを作成できる画期的な手法です。
本記事では、3DCG制作を効率化させる“フォトグラメトリ”の仕組みについて、詳しく解説していきます。
- 「モデリングデータが手配できず諦めていた」
- 「一からモデリングすると、CG制作費用が高い」
というお悩みを抱えておられた方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
フォトグラメトリとは?
なぜ3DCG制作にフォトグラメトリを使うのが効率的なのか、その仕組みとメリットをご説明します。
フォトグラメトリの仕組み
フォトグラメトリとは、被写体を様々な角度から撮影し、撮影データをもとに3DCGモデルを作成する技術のこと。
- 囲んで全体が映るように撮影
- ドローンを使って下からでは撮れない部分を撮影
- 隠れる部分がないように位置を変えて撮影
こうして360度から撮影した写真をコンピュータで解析し、写真から3Dモデルを立ち上げることが可能です。
フォトグラメトリと3Dスキャンの違い
フォトグラメトリと同じように、0からデータを作り出すのではなく完成している被写体をデータとして取り込む「3Dスキャン」というCG制作技術があります。フォトグラメトリは撮影写真からCGを作成していきますが、3D スキャンはレーザーや光を飛ばして3次元の座標データとして読み取る技術です。
フォトグラメトリは写真から読み取るため寸法があまり正確でなく、3Dスキャンの方が正確に形状を読み取れるという違いがあります。一方で、フォトグラメトリは一眼レフで撮影するため3Dスキャンよりテクスチャの再現性が高いという特徴があります。
専用ソフトでそれぞれのデータを合成することも可能なため、建物のCG制作の場合などはフォトグラメトリと3Dスキャンの両方を使用することが多いです。
フォトグラメトリを3DCG制作に活用するメリット
フォトグラメトリを3DCG制作に活用するメリットとしては、主に以下の3つが挙げられます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
- 費用が安価
- 制作工程がスピーディー
- リアルなテクスチャでの再現が可能
1.費用が安価
フォトグラメトリを活用すれば、複雑な被写体でもカメラさえあれば3DCGデータが作れるため、0からのモデリングよりも費用を抑えられます。
2.3DCGの制作工程がスピーディー
CADデータがない被写体を0からモデリングしていくよりも、圧倒的に早く3DCGを制作できます。
3.リアルなテクスチャでの再現が可能
フォトグラメトリは写真から3DCGを生成するため、被写体をフルカラー、かつリアルなテクスチャで再現できます。テクスチャの確認のために被写体を触る必要がないため、貴重な保存物のデータ化にも最適です。
撮影のコツ
フォトグラメトリの撮影のコツは以下の2つ。
- いろんな角度からたくさんの枚数を撮影する
- 前カットとの差を大きくしすぎない
撮影した写真同士の重なっている部分を「オーバーラップ」といいますが、このオーバーラップの割合が少ないと専用ソフトが「この2枚の写真はつながっているのか?別の場所なのか?」と混乱し、写真を使用しないと判断してしまうことがあります。
そのため、フォトグラメトリの撮影を成功させるには、少しずつ動きながらたくさんの枚数を押さえることが重要です。空間が広くエリアを分けて撮影する必要がある場合も、その間のつながりをしっかりと撮影しておきましょう。
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フォトグラメトリでの3DCG制作に必要な機材
フォトグラメトリを活用して3DCGを制作する場合、必要になるのは撮影するカメラ、パソコン、ソフトです。
カメラ
カメラはデジタル一眼レフカメラ(DSLR)やミラーレスカメラなど、性能が高いほど精度の高い3DCGを制作することができますが、ない場合はスマートフォンなどでも可能です。
パソコン
パソコンは、フォトグラメトリのソフトウェアを動かせるスペックのものが必要です。使用するパソコンのスペックを確認し、そのスペック以上のパソコンを用意しましょう。
ソフトウェア
フォトグラメトリのソフトウェアは、無料で利用できるフリーソフトから、有料のソフトウェアまでさまざまな種類があります。専用のソフトウェアのなかでは、以下のものが有名です。
- CapturinRealityの「Reality Capture (RC)」
- Agisoft社の「MetaShape」
- 「ReCap」
- 「3DF Zephyr」
有料ソフトの体験版などもあるため、色々と試してみるのがよいでしょう。
フォトグラメトリを活用したCG制作の手法
機材が揃ったら、実際にフォトグラメトリでCGを作成してみましょう。この章では、フォトグラメトリを使ったCG制作のフローをご紹介します。
撮影
まずは、CGにしたいオブジェクトを撮影します。対象が何かによって、現場で撮影する場合とスタジオなどに持ち込んで撮影する場合があります。
現場で撮影する場合
展示されている文化財や建物など、撮影のために移動させることが難しい対象物の場合は、現場に行って撮影します。撮影の機会がなかなかとれないケースも多いため、撮影時は多めに写真を撮っておきましょう。
また、対象が広い空間の場合は、3Dスキャンで大まかな形をとらえ、フォトグラメトリで質感を合成する方法がおすすめです。明るさが足りない場合は照明機材を使用しましょう。
スタジオで撮影
小さな商品など、配送が可能なものは撮影スタジオで撮影を行います。現場での撮影に比べ、スタジオの方がライティングが調整しやすいというメリットがあります。
ソフトで編集
撮影後は専用ソフトに写真を取り込みます。ソフトが写真からカメラの撮影位置を解析し、以下のような点群状態のオブジェクトが表示されます。
不要な範囲をスキャンする必要はないので、この段階で必要な部分のみトリミングします。高密度点群の作成後は「メッシュ」を構築し、最後にテクスチャの構築を行います。
このような手順で、写真から3Dモデルを制作することができます。
フォトグラメトリでのCG制作に向いている素材・不向きな素材
スピーディー、かつ安価に3DCGを制作できるフォトグラメトリですが、実は何でもCG化できるわけではありません。この章では、フォトグラメトリに向いている素材、不向きな素材をそれぞれご説明します。
フォトグラメトリに向いている素材
以下のような素材は、フォトグラメトリを活用したCG化が可能です。
- 表面がザラザラしているもの
- 模様があるもの
- 布製品
- 建物
- 機械/工業製品
- 自然物(反射が少ない石など)
- 文化財(壺・昔の着物・鎧系など)
フォトグラメトリに不向きな素材
以下のような素材は、フォトグラメトリを活用したCG化が難しいとされています。
- ガラスなどの透けているもの
- 鏡、金属などの反射が強いもの
- 真っ黒なもの
- プラスチックなどつるつるした凹凸のないもの
- 動物など止まっていることが難しいもの
これらのものは写真から座標データを正しく読み取れず、3Dモデルの形状が崩れてしまうためです。ただし、動いている対象物のフォトグラメトリ専門スタジオもあるため、気になる方は調べてみてください。
まとめ
フォトグラメトリは写真から3DCGを作成できる非常に便利な技術です。近年ではフォトグラメトリと3Dスキャナと組み合わせ、寺院や重要文化財を空間ごと保存するケースも増えています。
- 「CADデータが無いとCG制作を断られてしまった」
- 「CG制作は費用が高く手を出しにくい」
というお悩みをお持ちの広報担当者の方は、フォトグラメトリに対応しているCG実績が豊富な広告代理店や制作会社に相談するのがおすすめです。実績のある広告代理店や制作会社であれば、撮影時のトラブルにも柔軟に対応でき、リアリティの高いCGを制作してくれるでしょう。
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- 稲田 貴夫
- 製品〜空間の3DCG映像や画像を制作。
3DCGの領域において広範なスキルセットを持っている。
モデリング、テクスチャリング、アニメーション、ライティング、レンダリングなど、3DCG制作の全ての要素に精通。メタバース・NFTにも注力し実績を積み上げている。
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